特別授業の研究協議会を行いました~「ことばの力のものさし」を通して子どものよさや可能性を伸ばす取り組みの大切さを学びました~
- 公開日
- 2025/10/23
- 更新日
- 2025/10/23
学校日記
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「ひまわり🌻」の特別授業研究会の後、この授業についての研究協議会を行いました。
今回は、愛知県ユネスコスクール活性化事業として実施されました。
講師としてお招きしたのは、東京外国語大学多言語多文化共生センター長の小島芳美先生です。
そして、共によりよい日本語指導や多文化共生推進の在り方を考えている様々な立場の皆様もご参加いただき、共に学ぶ機会としました。
本校進学先としてともに小中連携で支援を模索している篠目中学校の日本語適応指導の先生。
企業における外国人の日本語指導・多文化共生推進に係る関係者として、国際パートナーシップ協会理事長、愛知教育大学名誉教授・愛知東邦大学客員教授でもいらっしゃる土屋武志先生、地域社会における外国人の日本語指導・多文化共生推進にかかる関係者として、特定非営利法人トルシーダ代表理事の伊東浄江様、そして、安城市教育委員会と愛知県教育委員会からも参観し、共に問題意識を確認させていただきました。
協議会…といっても、実は多くの先生方にとってもこうして共通で同じ日本語適応指導の授業を見るのは初めてです。
しかも、日本語適応指導教室の先生方にとっても、この授業の展開方法は初めてです。
はじめてが多いのですが、次のステップに進むためにはとても意義深い授業。
なので、協議会は主に、日本語適応指導教室と在籍する学級での連携の在り方について話題として出されました。
いつものように先生たちもチームとなって今日の授業のことについて協議をし、その話題を全体で提供し合って本校の関心事を確認しました。
その後、授業のことも含めて小島先生にお話をいただきました。
先生のお話は、とてもよくわかる内容でした。
例えばお話をよくする子がいたとします。一方、母語と日本語が混じり、こちらとしてはお話がよくわからない子がいたとします。
でも、母語で聞いてみると、実は母語と交えて話していた子の方が深い理解があり、結果として母語を交えないと表現できないものがあるのかもしれません。
先生は、日本語ではない言葉で書かれた「4×2=8」を導き出す文章題を掲げて説明し、しかもそこに「式」と「答え」を出す形で私たちに「解いてみてください」とお話をされました。また、イラストの質問に対してどんなことが考えられるかという自由な意見を録音したテープを通して、「先生たちはこの子の理解度と言葉の習得度はどれくらいだと思いますか?」と質問し、実は母語で話しているところも含めると相当理解をしているというお話もされました。
そのうえで出来上がったのが文部科学省の示す「ことばの力のものさし」(正式名称「文化的言語的に多様な背景を持つ外国人児童生徒等のためのことばの発達と習得のものさし」)であり、常にその子の「ことばの力はどれくらいか」「授業で示された内容について理解している発達の力はどれくらいか」の双方から、この授業を通して何の力をどうつけていくべきかということをお話しくださいました。
発達段階に応じても、言葉がどのようについて来るかということもお話されていました。
「読む」「聞く」「話す」「書く」も、例えば小学生には書かせるよりも読むことや話すこと、むしろ大人にはまず書くことで理解したうえで話すことや聞くことを進めていくことの方が発達の研究から考えても効果的だというお話をいただきました。
少し違う視点から子どもの様子を見ていただき、少し違う分野から同じ悩みをもつ様々な団体等の皆様と意見を共有し、これからの日本語指導の在り方を考えていくことで、本校のこどもを主語にした教育を展開するための指針「自慢したくなるみんなの学校~誰一人取り残さない成長・教育・仲間との保障~」を形にする方向性をつかむことができる貴重な時間となりました。
ご来校いただきました皆様、本当にありがとうございました。