学校日記

過去展示されていた二本木小学校所蔵の加藤博氏の2点の絵画を新たな場所で今後展示・常掲していきます

公開日
2025/08/11
更新日
2025/08/11

学校日記

本校では、地元の画家である加藤博氏(1927-2024)の作品を所蔵しております。
加藤氏について、また、本校とのゆかりにつきましては、アンフォーレにあります安城市図書情報館に「レファレンス」(図書館による、調べたいことや探している資料などのご質問について、必要な資料・情報をご案内するサービス)を活用して調査を依頼しました。
現在そのシステムを活用して情報を提供していただいたものが、レファレンス事例としてレファレンス協同データベースに掲載されております。
ぜひそちらを参考にし、皆様もレファレンスを活用してみてください。
加藤博氏について  ⑴生没年・出身 (2)学歴・職歴 (3)研究歴 (4)表彰歴 (5) 顕著な作品 (6)近隣所蔵作品 (7)二本木小作品に関して (8)同時代のエピソード (レファレンス協同データベースリンクに飛びます)

実は本校では、公式記録から加藤氏の作品は2点あることがわかっておりました。
しかしここ10年以上、どの職員に聞いても、加藤氏の絵画作品を本校で目にした者がいませんでした。
気にはかけておりましたが、なかなか見当もつかない状況でした。

発見は、ひょんなことがきっかけでした。
本校では、2027年4月(令和9年度)からコミュニティ・スクールを開設します。
これに伴い、地域学校協働活動を行う「地域連携ルーム」の設置を検討していました。
思案した結果、本館1階の放送室内の「スタジオ」を活用することで進めています。
放送室は現在はアナログ放送も終わりました。
このため、学校内の映像提供は全てMicrosoft Teamsを活用したネットワーク配信となっています。
どの場にいても映像提供が可能となったため、スタジオは十分な活用をされてきませんでした。
現在、有線での校内テレビ放送は行われていません。

そこで、スタジオを全て整理し、職員の手作業で部屋のリノベーションをしようと考えました。
ひとつは、タブレット活用でのネットワーク放送の拠点となる、新たな「スタジオ」としての活用です。
もうひとつは、コミュニティ・スクールの地域学校協働活動での「地域連携ルーム」としての活用です。

このため、閉めていた暗幕カーテンを全て開け、閉まっていた窓を全て開放していきました。
壁面全面にも暗幕があり、それらをひとつひとつ開けていきました。
すると、壁際にひときわ大きな絵が登場しました。
そして、その奥には額が壊れてしまった絵がありました。
さらに、額装されたしっかりした絵もありました。
合計3点の絵画がありました。
職員一同で驚き、どうするかを長い時間かけて思案しました。
絵画は目にすることで価値があると考え、このたび公開することとしました。


1つ目です。
一番上の写真にある、壁際にあったひときわ大きな絵。
「春を呼ぶ二本木の子供」というタイトルがつけられています。
1979年(昭和54年)に加藤氏が体育館壁画として製作したものです。
本校体育館後方に掲げられていたと思われます。
油彩でベニヤ板を加工した大きなキャンバスに描かれている絵は迫力もあります。
ただ、ところどころベニヤ板が破れている部分があります。
想像してみます。
ふだん体育で使う体育館です。
様々な球技等を行う中でボールが当たるのは必然だと思います。
さらに材質の劣化も伴って板が破れてしまったのではないかと思われます。
また、完成して半世紀近くにもなっています。
絵画は打ち付けたくぎがぬけてしまっているなどの劣化もありました。
おそらく体育館上部に掲示しておくことは叶わなくなったのではないでしょうか。
やむなくスタジオ内の日の当たらないところに保管されていたと思います。
下ろすのも大変だったと思います。
修復するにはベニヤ板を直して再度同じ色で重ね合わせる必要があります。
高度な技術も要する必要があり、完全再現は叶いません。
しかし、二本木の子どもと題された絵画です。
このため、安全上修復が必要な部分以外は原則現状のまま展示していくこととします。
今後この壁画を、本館1階正面玄関横の放送室・スタジオ前の廊下壁面に設置します。
そして、固定して常掲としていきたいと思います。
昔を懐かしんで、また、こうした壁画が体育館内にあったということもイメージしていただければと思います。
まさに二本木小学校の子供達が、「春を呼ぶ二本木の子供」でありますように。
そんな気持ちで皆さんで絵画に親しんでいただければと思います。

2つ目です。

2つ目の写真にあるものです。
この絵は発見時、額が壊れて移動が叶わない状態でした。
こちらも比較的大きなもので、絵自体は全く劣化しておりませんでした。
このたび、額を新調して新たな形で戻ってきました。

「天使の祝福を受ける二本木小の子供達」というタイトルがつけられています。
体育館壁画より1年前の1978年(昭和53年)に製作されたようです。
「…二本木小学校より依頼を受けて《天使の祝福を受ける二本木小の子供達》50号を寄贈した…」と作者本人の記録が残されています。
本校の名前を冠して、二本木小の子供達が天使の祝福を受けるとまで題している絵画です。
格式高い額装をし、絵画を再び皆様が見える場所に戻すこととしました。
本校では正面玄関に設置し、常掲することとなります。

これら、「春を呼ぶ…」「天使の祝福を受ける…」の2点を正面玄関付近に設置しました。
半世紀近く前の本校の雰囲気も感じていただけたらと思います。

3つ目です。
今回写真は掲載していません。
記録にはないのに、もう一点、本校には加藤博氏の作品があります。
こちらは発見当時無傷で、昨年度より既に展示はされています。
本校の記録には一切残っておらず、ご本人の公式記録にもその記載がありません。
「おらが庭」と題された絵画は他の2点とはタッチも全く違います。
裏面に「形象派美術協会」と書かれています。
なぜここにあるのか。
いつの絵なのか。
詳細は不明です。
同氏がかつて所属した形象派からの離脱前夜の貴重な作品であると思われます。

こちらも合わせて正面玄関前に掲示しております。
そんな視点で絵画をご覧いただければと思います。

二本木小学校も半世紀の時を経て、新たな一歩を踏み出しています。
そこで、今年度の二本木小学校は、「二本木ルネサンス計画」を進めています。
創立時の思いやその後の地域の協力などを振り返る機会としています。
過去にあったものやことを丁寧に整え、再度表舞台に出しています。
その上で本校の新たな1ページを綴るための息吹を吹き込んでいきたいと思います。

「ルネサンス」とはいっても総力を挙げてということではありません。
本校の歴史をリスペクトし、オマージュすべく、徐々に、取り組んでいます。
完全復元や元に戻すということが目的ではありません。
教育資源としてしっかりと活用していくことをめざしています。

この絵画についても子供達の学びや情操に生かされていければと考えております。

また学校に来校されたら、ちょっと足をお運びください。
よろしくお願いします。