3年生 道徳 「私がピンク色の帽子をかぶるわけ」
- 公開日
- 2021/06/07
- 更新日
- 2021/06/07
ギャラリー
3年生の道徳で、同年代の友情について考えました。
中学3年生のKは、幼い頃から水泳を続けており、数々の大会に出場していました。5年ほど前から、Kが出場する大会に、Mという選手も参加するようになりました。それ以来、言葉は交わさないけれど、互いを意識し、よきライバルとして競い合ってきました。
ある日、いつものように大会に参加したKは、エントリーにMの名前がないことに気づきます。どうしたのかと気になっていたところ、Kの家に1通の手紙が届きました。それは、Mからの手紙でした。手紙には、Mが骨の病気にかかり水泳が続けられなくなってしまったこと、Kの存在が、Mをここまで頑張らせてくれたこと、これからKが勝ち進めば、Mにとっても「水泳を続けていればそこまでいけたはずだ」と思えること、そして、Mの分まで頑張って泳いで欲しいことが書き綴られていました。
Kは、その手紙を読みながら、Mの分まで頑張ることを決めます。そして、Mがかぶっていたのと同じピンクの帽子をかぶって大会に出場するようになったのです。
「Mから手紙が届いた時、Kはどんな気持ちだったかな」という問いかけに、生徒は「悲しく思った。」「Mの分まで頑張ろうと思った。」と答えました。しかし、担任が「本当にそうかな。自分ならそう思えるかな。だって、ライバルのMがいなければ、Kは勝てる可能性が上がるんだよ。」と話し、生徒の思考を揺さぶります。「確かに、そういうことを思うかも知れないけれど、Mがいたから頑張って来れたんだという思いもきっとあると思う。」「ライバル関係は、ただの敵じゃないので、Mの分まで頑張りたい。」と、生徒の発言にも深みが増していきます。最後は、「友達ってなんだろうね。」と問いかけられ、「互いに高め合える存在。」「互いに認め合える存在。」「青春です!」など、生徒の生身の心が感じられる言葉が飛び交いました。
3年生の道徳の授業は、決して綺麗事に終始することはありません。自分自身の心の弱さを認めながら、どんな自分になりたいかを真剣に考え、級友と語り合える時間です。これからも、本音で意見しあえる雰囲気を大切にしながら授業を実践していきたいと思っています。