「春に」の詩をよんで
- 公開日
- 2020/04/27
- 更新日
- 2020/04/27
3年生の部屋
「春に」 谷川俊太郎
この気もちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気もちはなんだろう
3年生の国語の最初のページをめくると、この詩が登場してきます。
「春に」というタイトルの通り、春には、様々な動物・植物が活動する時期であり、私たちもたくさんの出会いや別れを乗り越えて新たな道を進みます。
新しい学年・新しい学級になり、一抹の不安を抱える人も多いかと思います。しかし同時に、これから始まるであろう新しい出会いへの希望も、きっと抱えています。
谷川俊太郎が呼んだこの詩もまさに、今のみなさんの気持ちを読んだ詩です。
新しい自分に出会うために挑戦をしたいという反面、居心地の良い今の状況にずっと浸っていたいという心の葛藤を表しています。
この詩に何度も登場する「この気持ちはなんだろう」。ぜひ、この気持ちとは何なのかを考えてみましょう。